山がある風景

今やネットや各種SNSでマーケティングを行うことが当たり前になった世の中では、動画コンテンツがますます重要な役割を果たしています。

昭和や平成であれば、テレビやラジオなどマスメディアが情報源であり、そこにコンテンツを提供するのは一部の大企業か広告代理店しか難しかったですが、今や個人でも大きなインパクトを伝えられることができるようになったためです。

動画は視覚的な魅力とストーリーテリングの力を組み合わせ、鮮やかに情報を伝える手段として人々に愛されています。この記事では、「効果的な動画コンテンツの作り方」について、情報を共有したいと思います。

動画制作の重要性と利点

橋のある風景

改めて説明する必要はないかもしれませんが、動画制作の重要性や利点について簡単に整理しておきます。

近年、ネットやSNSなどオンラインプラットフォームでの動画コンテンツの視聴数は急増しています。YouTubeやソーシャルメディアなどでの動画視聴は、見ている人の関心を引きつけ、情報を視覚的かつ具体的な方法で伝えることができます

一方で広告の要素が強く出ている動画やコンテンツなどには、嫌悪感が抱かれるようになりました。そういう意味ではバランス感覚やテクニックが重要になることもあります。

とはいえ動画は、テキストや静止画よりも多くの情報を短時間で伝えることができます。

アメリカにある調査会社Forrester ResearchのJames L. McQuivey博士によると

1分間の動画から伝わる情報量は、文字に換算すると180万語、Webページに換算すると約3,600ページ分になる

Forrester ResearchーJames L. McQuivey

と言われているようなので、映像、音声、テキストの組み合わせにより、視聴者にとって魅力的で覚えやすい動画コンテンツが出来上がることで、伝えられるメッセージの情報量と効果は、計り知れないものがあります。

動画制作のための準備と計画

欧米人が打ち合わせしている様子

そんな魅力的な動画をつくるためには、どんな準備が必要になるでしょうか?

ここでは普段私たちピネトリースタジオが実際にやっている作業を元に、順に見ていこうと思います。

ゴールの設定と目標規定

動画制作の最初のステップは、ゴールを明確に設定すること。その動画を通して成し得たい目的、すなわち目標を明確に定めることです。

  • ブランドの知名度を向上させたいのか
  • 製品の紹介やメリットを伝えたいのか
  • 他社との差別化を図りたいのか

ゴールが違えば当然内容も大きく変わってくるので、自社スタッフで制作する場合でも外注して制作する場合でも、まずは動画コンテンツをつくる具体的な目標を設定しましょう。

想定される視聴者(ペルソナ)の設定

動画を制作する際には、対象となる視聴者層を明確に把握することも重要です。

すでに打ち出しているサービスやリピーターがいる商品であれば、その人たちの属性や関心事を分析し、彼らが求める価値やメッセージを理解しましょう。

まだローンチされていないビジネスや営業用として広く認知されるために動画を用意する場合などでは、視聴環境に合わせてターゲティングをするのも良いでしょう。

例えば弊社でよくある事例としては展示会があります。展示会ではブースごとに仕切りがあり興味がある人たちから興味を持ってきてくれることが多いので

  • 共感性
  • 他社との違い(強み)

これらを全面に押し出してつくることになります。興味がない人(例えばサイトに訪れる不特定多数の人など)に視聴してもらうためには、キャッチーなコピーや演出を考える必要がありますが、展示会ではそこまで必要ではありません。

このように、どの人がどんな瞬間にどのような課題を持ってその動画を見るのか。想定される視聴者層を設定して、動画コンテンツを作り上げていくことも非常に重要です。

構成とシナリオの構築

絵コンテのサンプル
実際に制作した絵コンテ(サンプル)

効果的なビデオ制作には、ストーリーボードの作成とシナリオの構築が欠かせません。いわゆる構成を考えるというものです。

ストーリーボードは、シーンの順序や映像の構成を視覚化するためのツールであり、シナリオはストーリーの脚本やダイアログをまとめたものです。

シナリオについては、プロットやスクリプトと言われることもあります。(厳密にはプロットとスクリプトは別のものですが、ここではわかりやすく「全部まとめてシナリオ」と呼ことにしています)

弊社では分けて考えるのではなく、ナレーション原稿として絵コンテに一緒に落とし込みます。

こうやって構成やシナリオを構築してみて、いるものいらないものをはっきりとさせていきます。

必要な機材と技術の選定

実写での撮影を伴うようなビデオ制作には、適切な機材と技術の選定が不可欠です。カメラ、マイク、照明などの機材を選び、映像の品質やオーディオのクオリティにこだわりましょう。

ピネトリースタジオではイラストを使ったモーショングラフィックス動画の制作が非常に多いため撮影機材などの選定は必要ないですが、代わりにイラストの選定やBGM・SEの選定にはこだわることが多いです。

動画制作の流れ

構成までが終われば、あとは実際に動画を制作するための作業になります。順番としては以下の通り。

  1. 撮影前の準備
    実写を伴う撮影なら撮影前にロケーションの選定、セットの準備、必要な機材のセットアップなど、様々な準備作業があります。香盤表(どの演者がどのタイミングで必要なのか)を作成したり、撮影の順番を予め計画しておくことで、円滑な撮影が可能になります。
  2. カメラの使い方と撮影テクニック
    ビデオ制作においてカメラの使い方と撮影テクニックは重要な要素です。最近ではスマートフォンを使って誰でも撮影が可能なので多くの人が自分たちで撮影することも可能ですが、より高いクオリティーを求めるなら、基礎や応用を習得したプロに依頼するもの手です。
  3. オーディオのキャプチャと編集
    映像だけでなく、オーディオのクオリティも重要です。安っぽい音を使ってしまうと、せっかくのいい映像も台無しになることが多くあります。またノイズが多い映像では内容が入ってこなくなるため、クリアな音声を収録できるように準備したり、編集の時にBGMやSEなどを組み合わせて、聴覚にも訴える作品に仕上げていきます。
  4. 照明と環境の管理
    撮影が必要な場合には、必ず収録場所の明るさに注意を払いましょう。よく個人のYouTubeで見られる状況ですが、画面や人物が暗いと内容が入ってこなくなってしまいます。特に室内だと顔周りの照明は準備することが多いのに、部屋全体の明るさをコーディネートすることを忘れる場合もあります。照明は映像の雰囲気や質感を左右する重要な要素です。適切な照明の配置と環境の管理により、映像の品質を向上させましょう。
  5. 編集ソフトウェアを使用して編集、書き出し
    撮影や動画で使用する素材の準備が終わったら、実際に編集ソフトウェアを使って映像や音声の編集を行います。ビデオの編集とカットにより、不要な部分を削除し、ストーリーをより魅力的にすることができます。また、効果的なトランジションやエフェクトの追加により、視聴者の関心を引きつけることも可能です。カットの調整、トランジションの追加、効果の適用など、やることが多岐に渡るので、機会があれば別記事でまとめていこうと思います。

動画の最適化と公開時のお作法

動画編集画面

動画ができあがった後の作業としては、その動画をどこで公開するのか?によって作業内容が異なってきます。

例えば、YouTubeにアップロードしてみてもらう場合。タイトルや動画の説明、タグづけなどを行う必要があるでしょう。今やGoogleに次いでYouTube内での検索は非常に多いです。YouTube側で動画内の情報を独自技術で情報化している(検索にヒットしやすくしている)という話は聞きますが、それでも動画を公開する際には、タイトル、説明、タグなどのメタデータを最適化することが重要です。適切なキーワードを選び、SEOに配慮したメタデータを作成しましょう。

また最近弊社に依頼が増えているのが、ソーシャルメディアプラットフォームでの宣伝です。具体的にはInstagramの広告出稿が増えています。YouTube、Facebook、InstagramなどそういったSNSへ広告目的で動画を公開するなら、視聴者のターゲティングも必要になってくるかもしれません。マーケティング部とコンテンツ制作部で分かれている場合はこの作業はないでしょうが、多くの場合は「デジタル部」のように一括りにまとめられることが多いと思いますので、日頃から各種SNSをチェックしておくのもおすすめです。

最後にホームページに載せる場合。サーバーに動画をアップロードしたり、HP内に組み込むコードを書いたりする必要があります。サイトの優劣を図る一つに滞在時間というものがあるので、動画を視聴することで検索エンジンが「このサイトは有益に違いない」と判断されることが多くなります。そのため、動画はSEOの観点からも重要な要素です。ビデオコンテンツの最適化、埋め込みコードの活用、リンクの取得など、SEOにおける最善の手法を取り入れましょう。

動画は作った後が本番|PDCAを回す

個人での運用ならアップロードしておしまいとなるでしょうが、企業の場合はそうはいきません。動画コンテンツを作った後の作業も非常に大事です。

例えばYouTubeの場合。キャッチーなサムネイルを用意することは、動画を面白くつくると同じくらい非常に重要な役割を担っています。なぜなら視聴者がビデオをクリックする決定をする際には、サムネイルとプレビューの魅力が重要な役割を果たしているからです。目を引くサムネイルやプレビューを作成し、視聴者の関心を引きつけられるように準備しましょう。

動画がある程度溜まってきたり、社内の人間が顔を出して動画コンテンツを制作していたりする場合。インフルエンサーとのコラボレーションを検討してみても面白いかもしれません。昨今ステルスマーケティング(通称ステマ)に対する規制が厳しくなっていますので、ステマ目的でインフルエンサーと関係を持つのは大変危険ですが、それでもやはりインフルエンサーマーケティングはビデオコンテンツの成功において効果的な手法だと考えられrます。

業界の専門家や人気のあるインフルエンサーとのコラボレーションにより、視聴者の拡大や信頼性の向上を図ることができるので、動画コンテンツや運営方針と照らし合わせてふさわしければ検討してみましょう。

最後、最も重要なことは、ユーザーエンゲージメントの分析です。いわゆるPDCAにもつながりますが

  • 今回の動画コンテンツでどのような結果が出たのか
  • ユーザーの反応はどうなのか

など、SNSであれば来たコメントのチェックや返信でわかることも多くあります。

視聴者のフィードバックを収集することで、コンテンツの改善と視聴者の応答を促し、今後の成長や展望に大きく関わってきます。動画コンテンツをぜひ動画コンテンツを作った後の分析も行っていきましょう。

まとめ

ビデオコンテンツは現代のデジタルマーケティングにおいて不可欠な要素です。本記事では、動画制作の重要性、準備と計画、ステップバイステップのガイド、最適化と公開の手法、成功のためのヒントとトリックについて解説しました。これらの情報を活用して、効果的なビデオコンテンツの作成が可能になることを願っています。

もしご不明点や自社制作でお困りになった場合は、ぜひピネトリースタジオにご相談ください。